ヒューストン・アート・ツアー同行レポート
「ヒューストン・アート・ツアー」は2013年9月に開催されました。
美術館キュレーター、修復士、アーティスト、コレクター、ギャラリー・ディレクター、建築家など、様々なアート業界のプロフェショナルたちに会える旅!をテーマとし、また、ツアー日程にあわせて、Art Allianceの【アーティスト&美大生のための英会話講座】ご受講の生徒様3名様による現地での「グループ展」も開催でき、参加者皆様にとりまして、充実の旅となりました。思う存分“英語でアート”に触れられた様子を同行者、宮本がレポートいたします。
今回のヒューストン・アート・ツアーは、訪問先20件以上、それぞれに大歓迎され、スケジュール通りにすべて進んだということは私にとりましてはとても意味のあることでした。
このツアーはNYでもロンドンでもパリでもなく、「ヒューストン」という知名度の低い街(でもいろいろな意味でポテンシャルあり)であるにもかかわらず、ツアーにご参加いただいた10名様には感謝の気持ちでいっぱいです。
8年半の「ヒューストン」滞在歴を元に、その間作り上げた地元でのアート・ネットワークを存分に使い、このような“手作り”ツアーが実現しました。
「ヒューストン」の魅力、「アート」コミュニティの魅力、そして、そこに住む温かく寛容な人たちの魅力を微力ながら、日本の皆さん(世界の皆さん?!)に伝えて行きたいな~というのが最初の目的でした。
このツアーにご協力いただいたすべてのヒューストン在住の方々には心より感謝申し上げます!
お忙しい美術館のキュレーターや修復士や司書の方からギャラリー、アーティスト、コレクターの方々まで。。
最初にこのお話を持って行った際、皆さん本当に快くツアーや訪問等を引き受けて下さいました。
また訪問先でのお食事やレセプションやシャンパンでおもてなしいただいたのも、皆様のご好意で実現したものでした。
このツアーを通して、益々私自身もヒューストンの魅力及びそのアート・コミュニティの結束の固さ、そして外部からのアート好きを受け入れてくれる懐の広さを再認識いたしました。
今後もいろんな形で「ヒューストン」と「アート」にかかわって行きたいと思っています。私に賛同される方!そして、日米アートの交流にご興味のある方!ボランティアとしてお手伝いいただける方、ぜひご連絡下さい!
ヒューストン・アート・ツアースケジュールTour Schedule
- 1日目
- Hotel Zaza到着
- ミュージアム地区にあるHotel Zaza。
このエリアに似合う芸術的な高級ホテル。
このツアー代金では本来実現できないステイ先です!現代アートがロビーの至る所にありました。
- Contemporary Art Museum, Houston(現代アート美術館)
- ツアーのガイドはプログラム・コーディネーターのサリーさん。
英語がとても知的で勉強になりました。
- 2日目
- Museum of Fine Arts, Houston(ヒューストン美術館)
- ヒューストン美術館 Museum of Fine Arts, Houstonは全米でも5位以内に入るメジャー美術館です!
日本にはない“総合美術館”で、向こうでは“encyclopedic museum”と呼ばれています。
ヨーロッパ美術部門キュレーター2名!によるハイライト・ツアー。ルネサンス~印象派代表作を解説していただきました。
写真保存修復士トシさんと版画、リトグラフ保存修復士ティナさんによるラボ見学ツアー及びQ&Aセッション。写真保存倉庫と修復の現場を特別に見せていただきました。
術館リサーチ・ライブラリーのディレクター、ジョンさんによるライブラリーツアー及びQ&Aセッションがありました。
実はココはワタクシの元職場。ジョンさんは私のスーパーバイザーだったのですね。今やディレクターとしてご活躍されていて、嬉しいです。ルネサンス期の古書(Vasariとか)Limited editionの現代アート本まで(アンディウォーホルの落書き入りの本とか!)、希少本を特別に見せていただきました。
- College of the Mainland(アート・ギャラリー)
- “Breaking the Boundaries; Illustration & Paintings from Tokyo”はカレッジが持つアート・ギャラリーと宮本とのコラボ企画でして、今回のツアーにご参加いただいたイラストレーターのとやちかこさんにアーティスト・トークを行っていただきました。
とやさんにはArt Alliance「アーティスト&美大生のための英会話」講座をご受講いただきました。
お客さんがギャラリーからはみ出るほど満杯になっており、目を疑ってしまいました。
大学生、教師陣、地元の方々など。。ざっと100人近くいらしたような気がします!
最初に私のキュレーター・トークがあり、その後アーティスト・トーク。この人数ですと、通常はとても緊張するのですが、皆さん、とても温かい気持ちで迎えて下さり、お陰さまで普段通りのトークができました。
- ジェームズ・タレルのインスタレーション(ライス大学)
- ヒューストンはこのジェームズ・タレルの常設の多い街でして。。一番有名なのは、地元民なら一度は歩いたことのあるだろうヒューストン美術館内の本館と新館を結ぶ幻想的な<タレル・トンネル>です。
2000年には某宗教団体の集会所(一般見学可)にスカイ・スペースをタレルは地元の設計事務所と合同で作り、そして昨年名門ライス大学内に野外スカイ・スペースのインスタレーションが完成しました。1度に3回タレルが楽しめる街なのです。
ライス大のインスタレーションはパブリック・アートとして公開されてますので、いつ行っても無料。
- 友人ジェリー宅訪問
- 友人宅でのディナー。
元日米協会のディレクターのジェリーさんの眺めの良いハイライズ宅でテキサスBBQをいただきました。
- 3日目
- ルシンダ(アーティスト)宅訪問
- アーティストのルシンダさん宅を訪問いたしました。
ルシンダさんが朝食ビュッフェをご用意して下さいました。フルーツ各種にパンにチーズ、ジャム、サラダ、コーヒー、オレンジジュース。
朝食後にアーティスト・トークとご自宅内にあるstudioのツアー、そして版画のデモまで行って下さいました。
ルシンダさんの作品はガラス(作品によってはプラスチック)ベースのものが多いですが、表面に色を塗り、それを3段重ねることにより、下の色がうっすらと表面に表われます。その半透明感Translucencyがなんとも美しいのです。
- Rothko Chapel(ロスコ・チャペル)
- ロスコ・ファンの巡礼地!
中に入ると、マーク・ロスコの作品が全面に掛けられているチャペルです。どの宗教の方もウェルカムで、普段は皆さんここで瞑想をされています。
チャペル前でレスリーにイントロをお願いいたしました。
- Menil Collection(メニル・コレクション美術館)
- マグリットをはじめ、多くのシュールレアリスム作品を所蔵されています。
友人のエイミーのアレンジで、アシスタント・キュレーターのタサさんによるハイライト・ツアーが実現しました。
メニルは一切ツアーを行わない方針で知られている美術館ですので、、とても貴重な体験となりました。ヒューストン美術館のキュレーターお二人にツアーをしていただいたのも、通常では有り得ない?!ことなのですが、メニルのキュレーターが出てくるのは。。相当稀なのですね。大学院時代の友人のエイミーのお陰なんです。
- Cy Twombly Museum(サイ・トゥオンブリー美術館)
- 現代アーティストのCy Twomblyの初期~晩年の作品が一堂に見られる美術館となっております。
- ジャネット(アート・コレクター)宅訪問
- コレクターのジャネットさん宅へ。
豪華なハイライズの高層階へ。
ロイ・リキテンスタインやハンス・ホフマンなど、カラフルな色彩を有する作品を中心としたコレクションを披露して下さいました。
シャンパンをいただきながらの贅沢ツアー!
Rauschenberg、Ultra Violet、Rosenquistなどなど、ポップアートのビッグネームが次から次へと出てきます。
そしてベッドルームには心の休まる印象派の作品が。
- ミシェル(アート・コレクター)宅訪問
- 一軒家に住む男性のコレクターで、新鋭の現代アーティストたちの作品コレクションが中心となっております。違ったタイプのコレクションを比較していただきたく、このお二人にお願いをしました。
ミシェルさんの場合はどの作品もとてもパーソナルであることがわかりました。ご自身が所有する作品のアーティストさんとはほぼ全員面識があり、友人だったりすると話しておられました。
新しい才能を発掘し、作家を積極的に支援するミシェルさんの姿が見えてきました。
ミシェルさんはツアー後、パーティーも開いて下さいましたよ~!アート系仲間の方々がたくさん駆けつけてくれました。
- 4日目
- バイユー・ベンド・コレクション美術館(ハウス・ミュージアム)
- 元コレクターの邸宅で現在はハウス・ミュージアムとなっております。クラシックなアメリカ装飾美術と家具のコレクション、美しい庭園がご覧いただけます。
美術館ガイドの方にツアーをお願いいたしました。
- リエンジ美術館(ハウス・ミュージアム)
- 元コレクターの邸宅で現在はハウス・ミュージアムとして公開されています。こちらはヨーロッパ美術(ロココなど)のコレクションが中心となります。
美術館ガイドの方にツアーをお願いいたしました。
- 建築一家(アート・コレクター)宅訪問
- 私の友人でもあります、建築家一家を訪問いたしました。
アートのコレクションを披露していただき、その後ランチもご夫人のご好意でメキシカンをご馳走になりました。
ツアー中、一番おいしかったと皆さんにも大好評でした!
豪邸なので、各お部屋も見せていただきたかったのですが(ご夫人のプリンセス・クローゼットだけで10畳位ある、また時間切れで(涙)ランチだけいただいて退場することに。。
- Wade Wilson Gallery(ウェード・ウィルソン・ギャラリー)
- ウェード・ウィルソン・ギャラリーWade Wilson Galleryのオーナーとディレクターにお話いただきました。
そして、ちょうど個展開催中のMichael Crowderさんもいらっしゃいまして、私たち向けにアーティスト・トークをして下さいました♪なんて、VIP待遇!
- ギャラリーのオープニング・ナイト参加
- ギャラリー通りのオープニングに参加しました!
土曜日の夜。。この日にギャラリー通りで一斉オープニングがあるというので、地元アーティストのマユコサン、マークさん、マリさんにナビゲートしていただきました。
最高に楽しいメンバーでしたよ。オープニング・ナイトは人がたくさん!絵を見ている人、おしゃべりに夢中な人、そして、出会いの場?でもあります。Socializing eventですよね。
アーティスト英会話の「ギャラリー・オープニングで使う会話」講座。。ためになったかな?!
参加者様の声Voice
ご参加の皆様にアンケートにご協力いただきました。回答をいくつかピックアップしてみました。
皆様の嬉しいお言葉が私の励みになります!
ツアー全体を通してのご感想。
- 他のツアーでは体験できないアクティビティが盛りだくさんのexclusiveなツアーでした。
- 毎日、刺激的かつ充実したツアーで、帰国後もまだ余韻が残っております。先生のお人柄やご人脈でしか実現しないツアーだと何度も実感し、参加できて本当に良かったと思いました。
- 通常の旅行では決して行けないところ、会うことのできない人。。すべてがすばらしかったです。
- たくさんの刺激を受けて、とても濃厚なツアーでした。
ヒューストンの皆様のとても温かくてフレンドリーなおもてなしをいただき、心から感謝申し上げます。
- (ツアー料金)「お値段以上」の内容だったと思います。
特に楽しかったこと。印象に残ったこと。
- すべてが楽しかったのですが、「他のツアーでは体験できない」という意味では、アーティスト宅訪問、コレクター宅訪問、建築家宅の訪問が印象に残っています。皆さんの素敵なおもてなしに感謝です。
- アーティストさんのお宅をを訪問し、実際に創作過程を拝見出来たことです。また、アートと身近に暮らす生活を目の当たりにできたこと、様々なジャンルのギャラリーに入り、リラックスしたきもちで現存のアーティストの作品に触れることができたことも多くの学びがありました。
- 今回は抽象画を多く見ることで、またそれをどうやって暮らしの中に取り入れているかを拝見できてとても参考になりました。
- クラスで練習しましたが、まさか本当に展示会場でアーティストさんに作品について質問できる機会があるとは思っていませんでした。そして本当にアーティストさん自身から作品の意図をお伺いすると、全然印象が変わります。
- 大学でのギャラリー・トークの際、現地の学生の雰囲気に触れられたのもとても楽しかったです。
- コレクターの方にアートへの考え、思いが聞けたこと。
“英語でアート”の勉強になりましたか。
- とても勉強になりました。色々と質問もできましたし、つたない英語でもコレクションやご自身の作品について感想を述べて差し上げると、喜んでいただけますね!
- 英語は、現時点の私の能力でこのツアーはもったいなかったと感じてしまうことが多々ありましたが、英語を浴びるように聴ける環境に飛び込んだことで、モチベーションの回復につながりました。
- 先生のレッスンを細々とですが続けていたおかげで、今のお話が少しわかったんだな、という実感が時々あったことはとても嬉しかったです。
- とても勉強になりました。事前にお教室でシチュエーションに合わせた質問の仕方などを教えていただいていたので、これがとても役に立ちました。